ワイドショーで有名人の葬儀の中継をよく見ます。 葬儀にまで足を運ぶファンの方々を見ると、本当に自分の親戚が亡くなったかのような気持ちになっているのだろうなと思います。 往年のアイドルが亡くなったりするとファンの方たちもそれなりの年齢を重ねていて、それでもアイドル時代に夢中になっていた気持ちにタイムワープして『あのころ』に戻ってしまっているのでしょう。 まるで今、アイドルを夢中になって追いかけている少年少女と寸分変わらない姿がそこにあります。 年を取ると夢中になれることが減ってゆきますが、誰しも心を揺さぶられた『スター』はいるもの。 そんな人が亡くなった、と聞くと青春まっただ中だった頃の自分を思い出し、心の片隅に残っていた『何か』も終わったかのような気持ちになるのでしょう。 テレビの中の憧れの人だったのに、その『最期』を見届ける時、初めて『同じ世界に生きた人』だったのだ、と実感できるのではないでしょうか。 棺を乗せた車がクラクションを鳴らすと、当時そうやっていたように涙ながらの『コール』をして、まるでコンサート会場にいるかのように。 手の届かないところにいた人が、一番自分に近づく瞬間。 それが『最期』なのだから皮肉なものです。